金銭消費貸借契約を公正証書にできるのか
お金の貸し借り(金銭消費貸借契約)を巡るトラブルは、後を絶ちません。 「親しい仲だから」と口約束で済ませてしまい、後で返済が滞って困った経験がある方もいるのではないでしょうか。
そんなリスクを回避するための強力な手段が「公正証書」です。今回は、金銭消費貸借契約を公正証書にするメリットと注意点について解説します。
結論:金銭消費貸借契約は「公正証書」にできます
結論から言うと、お金の貸し借りに関する契約を公正証書にすることは可能であり、むしろ強く推奨されます。
公正証書とは、公証役場で公証人(裁判官や検察官などのOB)が作成する公文書のことです。単なる個人間の契約書よりも、極めて高い証拠力と法的効力を持っています。
1. 最大のメリットは「強制執行」ができること
公正証書を作成する最大の理由は、「強制執行認諾条項」を入れられる点にあります。 通常、相手が借金を返さない場合、裁判を起こして勝訴しなければ相手の財産(給与や預金)を差し押さえることはできません。
しかし、この条項を含めた公正証書があれば、裁判を経ることなく、すぐに強制執行の手続きに移ることができます。
2. 心理的なプレッシャーによる抑止効果
「返さなければ即座に差し押さえられる」という事実は、借り手に対して強い心理的プレッシャーを与えます。結果として、滞納を未然に防ぐ効果が期待できます。
3. 公文書としての高い証拠力
「そんな契約はしていない」「無理やり署名させられた」といった言い逃れがほぼ不可能になります。公証人が本人確認と意思確認をしっかり行うため、契約の真正性が公的に担保されます。
公正証書作成時の注意点
- 手数料がかかる: 貸付金額に応じて、公証役場に支払う手数料が発生します。
- 相手方の同意が必要: 公正証書は公証役場で作成するため、貸し手と借り手の双方が合意し、原則として一緒に(または代理人を立てて)公証役場へ赴く必要があります。
- 準備に時間がかかる: 事前に公証人と打ち合わせを行い、必要書類(印鑑証明書や本人確認書類など)を揃える手間がかかります。
まとめ
「信頼しているから」という理由で、あえて厳しいルールを設けないのは優しさではありません。「返せなくなった時のルール」を明確にしておくことこそが、良好な関係を維持する秘訣です。
特に貸付金額が大きい場合は、将来のトラブルを防ぐために、公正証書の作成を検討してみてはいかがでしょうか。

