「分割払いが止まったら?」を守る必須条項。行政書士が教える『期限の利益喪失条項』の重要性
「慰謝料や解決金を分割払いで受け取ることにしたけれど、もし途中で相手が払わなくなったらどうしよう……」
分割払いの合意をする際、誰もが抱く不安です。実は、何の対策もせずにただ「分割で払う」と決めただけでは、相手が支払いを止めたときに、残金すべてをすぐに請求することができません。
このリスクを回避し、支払いを継続させるための強力な盾となるのが、「期限の利益喪失条項」です。
1. 「期限の利益」とは何か?
まず「期限の利益」とは、簡単に言えば「約束の期日が来るまでは、お金を払わなくていい」という債務者(払う側)の権利のことです。
例えば、100万円を10回払いで約束した場合、相手には「今すぐ100万円全額を払う必要はなく、毎月10万円ずつでいい」という権利があります。これを期限の利益と呼びます。
2. 「期限の利益喪失条項」がないとどうなる?
もしこの条項を入れずに契約を結び、相手が2回目から支払いを止めてしまったらどうなるでしょうか?
驚くべきことに、あなたは「まだ期日が来ていない3回目以降の分」については、その期日が来るまで請求することができないのです。わざわざ毎月「今月分を払え」と督促し続けなければならず、非常に大きな手間とストレスがかかります。
3. この条項を入れるメリット
契約書に「期限の利益喪失条項」を盛り込むことで、以下のような劇的な変化が生まれます。
- 残金の一括請求が可能になる: 「〇回以上支払いを怠ったときは、当然に期限の利益を失い、残金を直ちに一括で支払わなければならない」と定めておけば、支払いが滞った瞬間に、残金すべてを「今すぐ払え」と言えるようになります。
- 強力な心理的プレッシャー: 「一度でも遅れたら、残った数百万円をドカンと一括で請求される」という事実は、相手にとって大きな恐怖です。その結果、支払いの優先順位が上がり、滞納を未然に防ぐ効果があります。
- 差し押さえ(強制執行)への道: 公正証書にしておけば、この条項を根拠に、残金全額について即座に給与や預貯金の差し押さえに踏み切ることが可能になります。
4. 行政書士による「緻密な条項」の設計
一言に「期限の利益喪失」と言っても、実務上は細かな調整が必要です。
- 喪失のタイミング: 「1回でも遅れたら」にするか、「2回分以上滞納したら」にするか。
- 通知の有無: 「催告(督促)なしで当然に喪失」とするか、「催告しても払わなかった場合に喪失」とするか。
- 遅延損害金との連動: 一括請求に切り替わった後の遅延損害金をどう設定するか。
これらの設計を甘くすると、いざという時に「条項が機能しない」という事態になりかねません。行政書士は、あなたの個別の状況に合わせ、最も確実に回収できる文言を練り上げます。
おわりに:最後まで「安心」して過ごすために
「分割払いで合意すること」は、あくまで解決のスタート地点です。本当に大切なのは、「最後の一円まで確実に受け取ること」です。
当事務所では、将来の不払いリスクを最小限に抑え、あなたが安心して新しい生活を送れるよう、隙のない書面作成をサポートいたします。
「分割払いの条件で悩んでいる」「相手が信頼しきれない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
