パワハラ内容証明の発送後に相手方から「弁護士」が出てきたらどうする?
当事務所のような行政書士のサポートを受け、ご自身の正当な言い分や請求金額を整理した「内容証明郵便」を病院や施設宛てに送付した後、読者の皆様が最も不安に思われる瞬間があります。
それは、「相手方(病院・施設側)から、代理人として『弁護士』が出てきたとき」です。
法律のプロである弁護士から連絡が来ると、「大ごとになってしまった」「自分が悪いことをしたように責められるのではないか」と、強い恐怖やプレッシャーを感じてしまう方は少なくありません。
しかし、結論から申し上げます。決して怯える必要はありません。
今回は、内容証明の発送後に相手方に弁護士がついた場合、ご自身の身を守るための最も安全性の高い「実務上の心構えと対応策」について解説します。
1. なぜ相手方は「弁護士」を立ててくるのか?
まず知っておいていただきたいのは、相手方が弁護士を立ててきたという事実は、決してあなたを一方的に攻撃するためだけのものではない、ということです。
病院や法人の経営陣に、行政書士が作成した内容証明郵便が届くと、組織は「これは単なる一職員の感情的な愚痴ではなく、法的なリスク(安全配慮義務違反や使用者責任)をふくんだ重要事項である」と客観的に認識します。
- 組織側の心理: 組織側が「自分たちだけで勝手に対応すると法律的に不利益を被る可能性があるため、法律の専門家である弁護士を間に挟んで、客観的・理性的に対応しよう」と判断した証拠なのです。事態が揉み消されず、正面から受け止められたという意味では、手続きが次のステップへ正しく進んだと言えます。
2. 弁護士から連絡が来たら、意識すべき「安全な対応方法」
もし相手方の弁護士から、あなたの個人携帯に電話がかかってきたり、面談を求められたりした場合、その場のプレッシャーで慌てて答えてしまうのは禁物です。
口頭でのやり取りは、相手のペースに巻き込まれやすく、後から「言った・言わない」のトラブルになる恐れがあります。
ご自身の身を守り、一貫した主張を維持するために有効なのが、「すべての対応を書面によるやり取りに一本化すること」です。
具体的には、相手方の弁護士から電話があった際、以下のように冷静に伝えるのが実務的です。
【電話での正しい対応例】 「申し訳ありませんが、こちらの言い分はすべてお送りした内容証明郵便の通りです。これ以上の口頭でのやり取りには応じられませんので、今後のご連絡やご回答は、すべて『書面』にて郵送していただきますようお願いいたします」
このように冷静に伝えたうえで、必要以上の口頭でのやり取りは避け、速やかに通話を終了するのが安全です。
これ以降の連絡をすべて郵送(書面)によるやり取りに制限することで、感情的な応酬や不意のやり取りを避け、落ち着いて内容を整理できる状況を作り出すことができます。
3. 行政書士が関わる範囲と、その先のステップ(弁護士との役割分担)
相手方に弁護士がついた場合、ここでも行政書士の業務範囲に関する非常に大切なルールがあります。
- 行政書士は、相手方の弁護士と「交渉」することはできません: 行政書士は、お客様の代わりに相手方の弁護士と直接会って示談交渉に関与したり、金額の交渉をして話し合ったりすることは弁護士法(非弁行為の禁止)により一切認められていません。私たちの役割は、あくまで「お客様の主張を正確な書面にまとめること」です。
万が一、書面でのやり取りの枠を超え、相手方との直接的な交渉や裁判手続きが必要だとお客様が判断された場合には、行政書士の範囲を速やかに引き、信頼できる弁護士へスムーズにバトンタッチ(ご紹介)する体制を整えています。
まとめ:プロの書面の力を借りて、冷静にステップを進めましょう
相手方に弁護士がついたからといって、あなたが不利になるわけではありません。大切なのは、相手の言葉に直接触れて傷ついたり焦ったりしないよう、「書面対応」という落ち着いた環境を整えることです。
「もし弁護士が出てきたら…」という不安も、事前に正しい心構えを持っておけば恐れる必要はありません。安心して、あなたの正当な主張を形にしていきましょう。

