離婚時の「デジタル遺恨」を残さない。写真・SNS・データの削除を公正証書で約束すべき理由
離婚の話し合いといえば、お金(養育費・慰謝料)や子供のこと、家のことに目が行きがちです。しかし、現代の離婚において、後々トラブルの種になりやすいのが「デジタルデータの取り扱い」です。
スマホの中にある家族の写真、共有していたクラウドストレージ、秘密のSNSアカウント……。これらを曖昧にしたまま離婚すると、後から「勝手に公開された」「データを人質に連絡が来る」といったトラブルに発展しかねません。
今回は、行政書士の視点から、デジタルデータの削除を公正証書に盛り込むポイントを解説します。
1. なぜ「口約束」の削除では不十分なのか?
「別れるんだから、あの写真は消しておいてね」「わかった」 この口約束には、残念ながら法的な強制力がありません。
離婚後に感情がこじれた際、保管していた写真や動画をSNSに投稿したり、相手の知人に送信したりする「リベンジポルノ」や「プライバシー侵害」が発生するリスクはゼロではありません。
また、不貞(不倫)が原因で離婚する場合、その証拠データをいつまでも相手が持っていることに恐怖を感じる方もいます。
2. 公正証書に盛り込むべき「デジタルデータ条項」の具体例
行政書士として書面を作成する際、以下のような項目を具体的に記載することを検討します。
- 特定データの消去義務: 婚姻中に撮影した、相手のプライバシーに関わる写真や動画(性的画像を含む)をすべて消去すること。
- データの非開示・非公表: 取得したデータを第三者に提供したり、SNS(Twitter, Instagram等)やネット掲示板にアップロードしたりしないこと。
- アカウントの閉鎖・共有解除: 夫婦で共有していたクラウドストレージ(iCloud, Googleフォト等)の共有を解除し、パスワードを変更すること。
- 違約金の設定: もし削除の約束を破り、データを流出させた場合には、損害賠償として〇〇万円を支払うこと。
3. 【行政書士の視点】実効性を高めるための工夫
ここで注意が必要なのは、「削除したことをどうやって証明するか」です。
デジタルデータはコピーが容易なため、完全に消えたことを確認するのは困難です。そのため、公正証書には以下のような一文を添えることが実務上のテクニックとなります。
「本条項に違反してデータを保持、または流出させたことが判明した場合、直ちに慰謝料として〇〇円を支払うものとする」
このように、「もし約束を破ったら金銭的なペナルティがある」と明記しておくことで、強い心理的抑止力を働かせることができます。
4. まとめ:形のない資産(データ)こそ、形にある書面(公正証書)で
家や預貯金と違い、デジタルデータは目に見えません。しかし、ひとたび流出すれば、そのダメージは一生消えないこともあります。
新しい人生を安心してスタートさせるために、「デジタルデータの整理」も離婚条件の重要な柱として考えましょう。
「自分のケースではどんな文言を入れればいい?」とお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。デジタル時代のプライバシーを守るための公正証書作成をサポートいたします。
