【行政書士が解説】「あげる」と言ったけれど、やっぱりやめたい。贈与契約の撤回と「書面」の重み
「勢いで『車をあげる』と約束してしまったが、状況が変わった」 「親戚に財産を譲ると口約束したが、最近の態度を見て不安になった」
こうした「贈与(ぞうよ)」にまつわるトラブルは、身近なところでよく起こります。一度約束したことを取り消すのは気が引けるものですが、法律上、贈与の撤回には明確な基準があります。
今回は、法務実務の経験から、贈与を「撤回できるケース」と「できないケース」の境界線を整理します。
1. 「口約束」ならいつでも撤回できる?
民法第550条には、驚くようなルールが記されています。 それは、「書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる」というものです。
たとえ「あげる」と約束しても、それが口頭のみであり、かつまだ実際に渡していない(履行していない)状態であれば、基本的にはいつでも取り消すことが可能です。
2. 撤回できなくなる「2つの壁」
逆に、以下のいずれかに当てはまる場合は、原則としてもう撤回はできません。
① 「書面」を作成した場合
贈与契約書を作成したり、念書を書いたりした場合、それが一通の紙切れであっても法的拘束力が生まれます。 「やはり気が変わった」は通用しなくなり、相手から「契約通りに渡せ」と裁判で訴えられれば、負ける可能性が非常に高くなります。
② すでに「履行(引渡し)」が終わった場合
口約束であっても、すでに現金を渡した、車の鍵を渡した、不動産の登記を移したといった「履行」が完了した部分は、もはや撤回できません。
3. なぜ「内容証明」で撤回を通知するのか?
口約束の贈与を撤回したい場合、単に「やっぱりやめる」と電話で伝えるだけでは不十分なことがあります。
- 「言った・言わない」の回避: 相手が「もうもらった」と主張したり、後から「撤回なんて聞いていない」と言い出すリスクを防ぎます。
- 意思表示の明確化: 行政書士が作成する内容証明郵便で「民法550条に基づき、本件贈与を撤回する」と正式に通告することで、法的関係を確定させ、将来の紛争リスクを最小限に抑えます。
4. 濱口事務所のこだわり:20年の法務経験で「一線」を見極める
私は企業の法務部で、数多くの「合意」と「解消」を扱ってきました。贈与の撤回においては、以下の視点を大切にしています。
- 「書面」に該当するかどうかの精査: LINEのやり取りや、断片的なメモが「書面」とみなされるリスクはないか。シビアに境界線を見極めます。
- 個別設計の文面: 相手との関係性を考慮しつつ、法的に隙のない撤回通知を作成します。
- 対話重視の姿勢: 「なぜ撤回したいのか」「相手とどのようなやり取りがあったのか」を丁寧にお聞きし、最適な正攻法を提案します。
まとめ:その約束、まだ「なかったこと」にできるかもしれません
「一度約束してしまったから……」と一人で抱え込む必要はありません。 法律は、軽率な贈与(口約束)によって人が不利益を被らないよう、撤回という出口を用意しています。
難しい言葉は必要ありません。まずはあなたの言葉で、どのような約束をしたのかをお聞かせください。濱口事務所が、確かな書面作成で、あなたの平穏な日常を取り戻すサポートをいたします。
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