「慰謝料」と「解決金」はどう違う?行政書士が教える、後悔しないための名目選びと法的戦略
不倫や離婚、あるいは近隣・親族間のトラブル。話し合いがようやくまとまり、書面(示談書や公正証書)を作成する段階で、多くの方が直面するのが「支払うお金の名目(名前)」をどうするかという問題です。
「もらえる金額が同じなら、名前なんて何でもいい」と思われがちですが、実はここには深い「実務上の戦略」が隠されています。今回は、書類作成の専門家である行政書士の視点から、名目の使い分けについて解説します。
1. 「慰謝料」:精神的苦痛と責任の明確化
「慰謝料」は、相手の不法行為によって受けた精神的苦痛を補填するためのお金です。
- 本質: 相手の「非」を法的に認めさせる意味合いが強くなります。
- 実務上の視点: 相手が事実関係を認めている場合はスムーズですが、相手に「自分だけが悪いわけではない」という言い分がある場合、この名目にこだわりすぎると合意が決裂し、泥沼の裁判へ発展してしまうリスクもあります。
2. 「解決金」:柔軟な合意のための「魔法の言葉」
実は「解決金」という言葉は、条文にあるような法律用語ではありません。
- 本質: 法的な定義がないからこそ、当事者間の複雑な事情を柔軟に包み込み、一切の争いを終わらせるための「パッケージ」として機能します。
- 実務上の視点: 相手が「謝罪はしたくないが、お金を払って早く終わらせたい」と考えている場合、名目を「解決金」とすることで、相手のプライドを尊重しつつ、こちらは着実に実利を得るという選択が可能になります。
3. 税務リスクと「社会通念上の相当性」
名目選びにおいて、もう一つ無視できないのが税金の問題です。
損害賠償としての「慰謝料」は、原則として非課税(所得税がかからない)です。しかし、以下の点には注意が必要です。
- 過大な金額: 社会通念上、相当と認められる金額を著しく超える場合、超えた部分が「贈与」とみなされ、贈与税の対象となる可能性があります。
- 実態の伴わない解決金: 内容によっては所得税(雑所得)として課税対象になるケースも考えられます。
「どの名目で、どういう理由で支払うのか」を正しく書面に残しておくことは、将来の税務リスクを回避するためにも極めて重要です。
4. 行政書士が「名誉」と「実利」のバランスを調整します
合意書の作成において、行政書士は単に言葉を当てはめるだけではありません。
- 「名誉」を重んじるなら: 謝罪文言と共に「慰謝料」として構成。
- 「実利(スピード解決)」を重んじるなら: 柔軟な「解決金」として構成し、確実に支払いを受けられる条件を整える。
さらに、どちらの名目であっても、最後に「清算条項(今後、お互いに一切の請求をしない)」を適切に盛り込みます。
おわりに:納得のリスタートのために
問題の解決は、単にお金が動けばいいというものではありません。 ご自身が何に重きを置きたいのかを整理し、それを法的に有効な書面に落とし込む。そのプロセスがあってこそ、本当の意味で前を向けるようになります。
「相手と揉めていて、どう書けば角が立たないか分からない」 「後から追加請求で困りたくない」
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